妊娠だそうで

 困った。
 脇の下と足の付け根に赤い物ができている。


 なにやら頭の中には「リンパ節」やらと言う困った響きの言葉がこだましてしまう。これは腫れているのか、それとも何なのかがさっぱりわからない。



 できることならば100歳くらいまで生きたいとは思っているのだが、だからこそ医者に行くのは怖い。

 もし、「大内さん、黄疸でてますね」とか、「まあ問題ないと思いますが、家族の方を呼んでください」とか言われたら本当に頭から血の気が引いて怪しいあの宗教に救いを求めて入信してしまいそうだ。


 …やはり死にたくはない。医者に行こう…



 でも、若干引き弱気なので、精密検査ができるような大病院ではなく、地域の医者へ。
 しかも皮膚科...



 その初めて行く医者にはいとうせいこうみたいな髪型をした先生が。


 いとう先生に脇の下と足の脇を見せると「ああ、これは間違いなく妊娠線ですね」と、即座に診断が下る。


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妊娠線:妊婦が急激に太ることにより皮膚がその速度に追いつかず、皮膚に亀裂が入ること。その線

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 その上なんだか訳のわからない「老人性血管種」という謎の物体まで発見されてしまい、ますます凹む。何だよ、老人性って。



 ただ意外にうれしかったのは、うちの会社の同僚含め、結構いろんな人に老人性血管種があったと言うこと。



 もう、みんな爺さん婆さんなんだな。いつでも死ぬ覚悟はしておきたいね。