近くの鉄道

実家の近くに、「茨城交通湊線」という私鉄が通っている。
小学校6年生の時、遠足で乗ったのを最後に多分乗っていないと思う。

うちの小学校の遠足は、春と秋の2回。秋は各学年でめいめいに違う場所に出かけるのだが、春の遠足は全学年で「阿字ヶ浦海岸」へ出かける、と言うものだった。
そこで、「中根駅」から「平磯駅」までを湊線で移動するのだ。

だから、多分その6年生の遠足で乗ったのが最後だったのだと思う。

で、来年あたり、湊線が廃線になるかもしれないと言う話を聞いた。

くりこまとか、鹿島とか、廃線になるって聞いてもなんにも思わなかったのだけど、今になってあの人たちの気持ちがわかった。単純に、寂しいのだ。

僕がひたちなかにいたのは3歳の時から27歳の春まで。おおよそ四半世紀の間、毎日遠くに湊線の警笛を聞いて過ごしてきたのだ。来年それが無くなってしまうのは、なんだか自分の一部分が消えて無くなってしまうようで、とても悲しい。

だから、ちょっと湊線に乗ってきた。

那珂湊線は、とってもゆるい。
普段JRしか乗らない僕にはとても考えられないくらいに。

まず、改札がほとんど無い。改札のない駅の構内にはいるのは入場券も何もいらない。ただ、気が向いたらふらっと入るだけ。
そして、改札のある駅の中に入るのに切符を買うのだが、一度買うとあとは一日出入り自由。実際は1度きりなのだが「ちょっと出たいんですけど」というと全然問題なく出入りさせてくれる。写真も取り放題。JRだと写真とかとってると怒られることもあるのに...

で、いざ、電車に乗ってみると、電車の中もすごい。シートは当然のようにボックスシート。で、窓際のちょっとした物を置くところとか、壁とかが、おそらく木製。もちろん、ファンデリア付きの車両。運転席はこじんまりとしていて、運転中でも客席と運転席の間を仕切らない。

そんな風景を、何枚か写真を収めてきたのだけど、写真に撮ったことでさらに寂しくなってしまった。機会を見つけて、また乗ってみようと思う。一日パスを買って。