ご当地アイドルのことを書くとき、僕は必ずこの話を書くことになる。
僕がご当地アイドルに出会ったのは、二年前。
県内のご当地が4つ集まって行われたイベントだった。
知人に誘われて見に行っただけだったので、そもそもそれほど期待していなかったというのもあったけど、そのときのご当地アイドルの中で、唯一エンターテイメントだなぁ、と思ったのはしもんchuだけだった。
水戸ご当地も、T-Princessも、かしま未来りーなも、全然面白いと思えなかった。みんな固すぎたのだ。
時間が経ち。
彼女たちの能力はどんどん上がってきた。
当たり前のことだけど経験者でない限り、ステージに立つということをメンバー含め、運営も最初はよくわかっていない。
何度かステージに立つ中で、最初はステージに立つだけで精一杯だったところから、いろんなところへの余裕が出来てくる。
そして「ステージに立つということ」がなんなのかわかってくる。
半年が過ぎた頃、水戸ご当地も、T-Princessも、かしま未来りーなも、エンターテイナーに変貌していた。
T-Princessと初めて絡んだのはおそらく、動画コメントをお願いしたときだと思う。ステージ前の忙しい時間だったので、改めてtwitterでお礼を言った…と、それくらいの話だったと思う。
しかし、そんなことがあり、お礼も兼ねて何度かステージを見たり、「いばキラガールズコレクション」の撮影をお願いしたり、T-Princessのメンバー生誕企画イベントで「まどろみマヌーサ」の収録をやらせてもらったり。
そして2015/8/2。T-Princessラストステージ。
大体、土日は仕事で忙しくてどこにも行く暇がないのだけれど、仕事のような形でキララ祭りに行けることになった。
万感の思いで締めくくる最後のステージだ。
T-Princessの持ち歌はもちろん、ステージではおなじみの「風の贈り物」ももちろん披露。
土浦、神立、荒川沖の発車メロディがこの曲だというMCを聞くのもこれが最後だろうな、などとふと思ったのだが、それだけじゃない。
この曲に限らず、ここで聞く曲全てこれが最後だ。彼女たちの一挙手一投足、これが最後だ。
明日から「夜空にきらら」をちゃんと歌う人はいないのだ。
卒業してしまえば彼女たちと会うことはもうないだろう。
立ち寄った、高架橋のある町。
そのどこかの街角で偶然出会うことはあるかもしれない。
だけどそれはきっと思い出だろう。
卒業セレモニーでのメンバーの挨拶を聞きながら僕は「永遠なんてない」と、そう思った。
僕の時間も、あなたの時間も有限だ。
僕は自分を見つめて、こう思った。
あと何度、ステージに立てるだろうか。
自分の要求と周りのイメージの差異に苦しみ、自分をすり減らすことをいったいいつまで続けられるだろうか?
答えは風の中に。夜空の中に。光の中に。